新春を迎え、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
2022年はロシアがウクライナに軍事進攻したことにより国際経済秩序の根幹が大きく揺らぎ、エネルギー安全保障、食料安全保障が課題として浮き彫りになりました。また、30年ぶりの水準となる円安が進み、これらの影響を大きく受ける形で様々な物資やエネルギー価格が上昇し、2023年も物価上昇が続くと思われます。
昨年、久保井インキでは、政府が推し進める「新しい資本主義」の4つのテーマに取り組み、相応の成果を上げてきました。
1つ目は「科学技術によるイノベーション」として、従来型の紙やフィルム用インキ事業とは一線を画し、数年来取り組んできた電子部品向けインキの設計開発を更に進化させ、様々な適性や諸耐性、環境性能を兼ね備えた製品群を新たに上市させました。これら製品群が、今後進展する自動車のEV化とCASEに貢献できる製品であることを念頭に、今後もより良い製品作りを推し進めて行きたいと考えています。
2つ目の「デジタル田園都市国家構想による地方活性化」では、経済産業省から選定された地域未来牽引企業としての活動を活発化させ、近畿経済局主催の各種イベントへの協力、大阪市東成区から認められたSDGs認証企業として区政と連携した新成人の支援活動等、地域社会の一員として地域に根差した町工場のあるべき姿を追求し、活動しました。
3つ目は、「カーボンニュートラルの実現」を目指し、GX(グリーントランスフォーメーション)を推進し、ISO14001取得、環境負荷化学物質の削減など従来からの活動に加え、化石燃料の使用を削減したバイオマス製品の開発などを進めています。
4つ目は、分配戦略「働く人への分配機能の強化」「中間層の拡大と少子化対策」への対応として、社内に新制度として「妊活休暇(特別有給休暇)」、「妊活支援(治療費援助)」の制度を導入するなど、政府の政策を後押しする活動に精力的に取り組んで参りました。
そのような状況において、久保井インキが今後も持続的な成長発展を遂げるためには、こうした変化や政策に的確、迅速かつ柔軟に対応していかねばなりません。そして、「ものづくり」を行う事業者としての基本に立ち返り、「強い工場」の再構築も進めなければなりません。
具体的には、昨年来言い続けている「マルチコンパクト&スピード」に加え、「強い工場」です。
「マルチコンパクト&スピード」 とは、昨年もお話ししました通り、単に今までと同じ仕事をするのではなく、マルチに、多彩に業務をこなす少数精鋭部隊が、手元に業務を留めることなく、より迅速に行動を起こすというものです。この考えは確実に社内に浸透しており、今後もこの考えを推進し、会社に根付く社風にしたいと考えています。
「強い工場」 とは、言うまでもなく、お客さまのご要望や営業現場からの要望に「できない」、「難しい」と答えていた、断る権限が強い旧態依然型の工場ではありません。可能な限りの力をもって対応する工場であり、どんなことにもチャレンジする社員により運営されて、初めて実現できるものです。また、ただ単に何でもやるだけではなく、徹底的な管理と訓練により、お客様に圧倒的な信頼感を持って頂ける工場であることも重要です。設計・開発部門で作られた製品情報は、言わば「法律」です。この「法律」に基づき製造部門は忠実にものづくりを行います。そして、検査部門は「法律」が守られているか、もれは無いか等を徹底的に検査し、「法律」に違反している製品、又は違反している恐れがある製品は誰にも遠慮することなく製造部門へ返品されます。久保井インキの製品は、製品や製法に問題が無いことが確認されて初めて社会に出て行く事が許されます。いわゆる「製造現場の三権分立」の精神です。立法(設計・開発)、行政(製造)、司法(検査・品管)のぞれぞれが独立した権限を持ち、相互に支えあう工場です。
ここまで硬い話ばかりでしたが、今年の干支は卯(う)、うさぎ年ですので、「うさぎ」にちなんだ、少しだけ柔らかいお話をしたいと思います。
今から30年前に放送されたTV番組の影響と思われますが、「うさぎは寂しいと死ぬ」という話が広がりました。あえてこの話を疑う必要もなかったこともあり、特に議論をすることもなく「うさぎは寂しいと死ぬ」と信じて数十年生きてきましたが、うさぎ年に際しこれを調べてみた結果、みごとに間違い。
うさぎは野生では少数の群れで生活していますが、睡眠時、餌探しや食事の時も基本的に単独行動をしており、これにより大きなストレスを受けるとは考えにくいようです。
今まで「普通」と思っていた事や、素通りしていたちょっとしたことでも自分で調べてみると新たな発見があるものです。
2023年はうさぎ年のなかでも癸卯(みずのとう)にあたり、「癸」と「卯」の組み合わせから、これまでの努力が実を結び、勢いよく成長し飛躍するような年になると考えられています。本年が皆様と久保井インキにとって文字通り飛躍の年となることを祈念致します。
久保井インキ株式会社は、本年もお客様、お取引先様をはじめとし、社会の良きビジネスパートナーとして、社会、お客さまの発展に貢献していきます。
2023年1月5日
久保井インキ株式会社
代表取締役社長 久保井伸輔